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30万円のジャケットで思い出したこと

2016.10.04


私は髪が短いので、美容室に行ってもアッという間に終わりますが、
その分、行く頻度は高いので、
だいたい毎月、女性誌(とくにファッション誌)を手にします。

先般、たまたま「婦人画報」が机の上に置かれていました。

ずしりと重い本を手に取ると、おお! 久々にテンションがぐんぐん上がる!!

秋のファッション紹介ということで、海外ブランドの洋服がてんこ盛り、
そして久しぶりに、かっちりしたジャケット、とくに20代のころによく着ていたダブルのジャケットがたくさんあり、
「やっとダブルジャケットの時代に戻ってきたのか~」と感激でした。

 

最近、ジャケットはシングル、さらにカチッとしたものはほとんど売っていません。

職場の女性の服装もあっという間にラフになり、
内勤者はもとより、お客様先にノージャケットで行くのも平気なようです。

ファッション誌も手ごろな価格・カジュアルな服がほとんどで、
パラパラめくりはするが、憧れとして見るようなものはほとんどありませんでした。

美容院で手にした雑誌に掲載されていたのは海外のハイブランドですから、
1着30万円とか、買えるわけがないものばかり。

しかし、そのラインや生地、仕立ての上質さは写真を通しても十分感じられました。

良いものを見ると気持ちが前向きになり、思わず担当の美容師さんに
「こういうジャケットが復活したのはいいですね。最近のファッション誌はラフで手ごろなものばかりで、等身大だけど『憧れ感』がなかったから」
と話しかけました。

私の担当美容師さんは、勉強を惜しまずトップを目指して走り続ける努力家。職人タイプ。
「そうそう」とうなずきながら誌面をのぞき、おっしゃった言葉がズシッときました。

「こういう上質なジャケットに袖を通したことがあるかないかで、美の世界観が大きく違うのです。
買えるかどうかではなくて、一流が持つ一流たる理由を感覚で知っているかどうか。
とくにジャケットは、それ一つでファッションの完成度を格段に高めるんです。
若い美容師たちにも知ってもらいたいのだけど、今はファストファッションが身近すぎて触れる機会がないようで…」

 

それを聞いて思い出しました。

30万どころか10万円のジャケットも買えないけれど、
数万円の仕立ての良いジャケットに挑戦し、その凛々しさ、上質さに飲まれず、
着こなせる人になろうと思った若手時代の自分を。
仕事でいろいろな方に会うときに、失礼にならないよう、きちんとした服装で臨もう、
そして、「若いから、女だからって馬鹿にされないように」と、ちょっと肩肘張っていたことを。

良いジャケットを着てスーッと背筋が伸びる感覚は、
安くて楽ならよいと、ちょっと怠慢になってきた今の自分に欠け始めたもの。

30代のころ。 金ボタン&ダブル!

30代のころ。
金ボタン&ダブル!

上質を作り出した方々に敬意や憧れを持ち、そこを目指そうとする。
ちょっと背伸びをする気持ちが、自分の視点や志を高める。

あのころ雑誌で目にし、百貨店で恐る恐る手にした高額なジャケットやバックは、
単なるバブルではなくて、
成長への原動力の一つだったと思います。

モノを持たない時代、そして所得が伸びず高額なものは買えない時代になりました。

でも、車でも、椅子でも、時計でも、ジャケットでも、
自分を成長させてくれる一流のものとは、接点を持っていたいものです。
成長したいという気持ちを常に持ち続けるためにも。