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【連載】IT時代の新・人材像「IT担当」360度(第3回)

IT時代の新・人材像「IT担当」360度

2014.12.21


経営に役立つIT利活用の推進へ、情報システム(IT担当)の役割は大きい。しかし「新しい職種」であるがゆえ、まだまだその役割は認識されているとは言い難い。
本連載では、情報システムの内製化を行い、戦略的IT活用を進めている佐賀県の物流サービス業・鳥栖倉庫の情報システム部門の長である副島憲一氏に、情報システム担当者の役割について語っていただく(編集部)。

鳥栖倉庫株式会社 営業企画部 次長 兼 情報課 課長
副島 憲一

経営者と情報システムの関係は? 多くの問いかけを受ける立場になろう

当社の社長を一言で表すなら「せっかち」「やかましい」「しつこい」。言葉だけでは悪い意味に誤解されそうですが、決してそうではなく、とにかく、「熱い」社長です。

当社はシステムの自社開発という強みを生かし、顧客に合った物流システムを提供することで信頼を得てきました。社長自らが第一線に立ち、現場部門と開発部門が綿密に連携しながら取り組んできた結果です。しかし、時には、顧客の要求に対して、開発環境や期間、スキル等の点で身に余ると感じられることもあります。

そんなとき、開発部門としては、どうしても0か1かの選択で、現実的でないという回答になりがちでした。しかしながら、社長から「はじめから100点を目指すな、どこまでできるか考えろ、必要な予算はかけてもいい」と言われると、到底できそうにないと思えていたことでも、もう一度考えてみようかという気にさせられます。しかし、その時点で、「できません」と言う機会が失われていることに後になって気づくのですが…。

当然、社長ご自身がシステム開発に詳しいわけではなく、時には、顧客の要求にさらに輪をかけた指示となることもあり、その直感的で無謀とも思える内容に振り回されることも多々ありますが、実現できたかどうかは別として、困難なことに挑戦する機会を与えられることで、その都度スキルアップしてこられたのではないかと思っています。

トップからの質問攻めは、情報システム担当者のやりがい

また、社長は、作業の現場はもとより開発現場にも頻繁に訪ねてこられ、進捗の確認や、商談中の案件に関する新たな情報、時に会社の経営状況等に関してまでも、ざっくばらんに話されます。その際、疑問に思われたことについては、○○の仕組みを××のようにできないか? いつまでにできる? いくらかかる? 等、とにかく熱く語られるのです。その内容は簡単なことから途方もないことまで様々ですが、入社したての新人にも上司そっちのけで声がかかるので、言われたほうは戸惑いつつも、経営のトップから大事な戦力として頼られていることにやりがいを見出しているようにも感じられます。

また、社長ご自身、声をかけたことに関しては、たとえ些細なことでも決して忘れず、折に触れ、あの件はどうなった? と納得いくまで確認されるため、一つの結論を出すまで、それぞれが真剣に取り組むようになりました。

かつて私も、いろいろな要求に対し、当社の規模には分不相応ではないかと、勝手に思い込んでいたこともありましたが、経営のトップから直接、新たな構想や、目標を聞かされることで、これから先への可能性を感じてこられたように思います。

「従業員は自分が社長になったつもりで行動しろ」、と言われますが、会社について経営者と直接話せることは中小企業の社員ならではの利点ではないでしょうか。

 

鳥栖倉庫のIT経営については、
COMPASS 2013年夏号をご覧ください。

 

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