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地域の支援でネット活用の壁を乗り越える<IT活用事例>

藤田照氏 「『おんね湯にきたら必ずあそこに寄る』と言われるような商品を開発したい」

2016年 冬号 2016.04.14


藤田照氏「『おんね湯にきたら必ずあそこに寄る』と言われるような商品を開発したい」

Facebookページで効果を実感
情報積み上げ、リピーターに応える

和洋菓子店のWebサイト開設
北海道北見市留辺蘂町・和洋菓子製造販売 ふじや菓子舗

一番人気の白花かすてら (写真提供:ふじや菓子舗)

一番人気の白花かすてら
(写真提供:ふじや菓子舗)

日本初の滝つぼ水槽や北海道ならではの天然魚「イトウ」など、独自のコンセプトで注目を集める北見市留辺蘂町の「北の大地の水族館」。来館記念のお土産品の一つ「白花かすてら」は、近隣に店を構えるふじや菓子舗の人気ナンバーワン商品である。

原材料は留辺蘂町の特産品・白花豆。さらに地元・おんね湯温泉の温泉水を用いており、「こだわりの甘さ控えめ」が人気の秘密である。

ふじや菓子舗 Webサイト

構築したWebサイト
http://fujiya-confectionery.com/

「この地で生まれた素材を生かして商品とし、積極的に広めていきたいと思っています」

三代目社長である父・藤田俊博氏のもとで商品開発や販売を担当する藤田照氏はこのように話す。水族館ブームで観光客は増えているが、御多分に漏れず地域の人口は減少を続けており、危機感があった。

一方で、同社の商品は一度購入した顧客から電話で通販依頼を受けることも多く、「リピーターの方に向けてネット販売システムを作ってはどうか」とWeb活用に興味を持っていた。

留辺蘂商工会議所が開催した「ネットショップ研究会」(本誌2014年春号で紹介)の誘いを受けたのは、ちょうどそのころだった。

2013年から14年にかけてはFacebookが大きく普及した。同研究会はこの流れを受け、参加者自身のFacebookでの情報発信やFacebookページの作成・活用に取り組んだ。藤田氏はこのアクセス状況を見て「ネットで広める」効果を実感。「これだけ反応があるなら通販も可能ではないか。Facebookの受け皿としてもWebサイトが必要」と自社サイトづくりに踏み込んだ。

ふじや菓子舗

社名 ふじや菓子舗
所在地 北海度北見市留辺蘂町温根湯温泉194
代表者 社長 藤田俊博
創業 1913年(大正2年)
従業員数 4名
事業内容 和洋菓子の製造販売
URL http://fujiya-confectionery.com/

更新しやすいWordPress 質問できる環境が奏功

Webサイト制作は、同研究会に参加している地元のIT企業ウィズ・プランニングに依頼。同社の石原大樹社長は「自分で更新できるサイト」を提唱しており、ブログ構築ツール「WordPress」を活用した。2015年10月にショッピングカートも完成し、ネット通販体制が整った(この取り組みは小規模企業持続化補助金に採択された)。掲載している商品紹介文は、藤田氏が少しずつブラッシュアップしている。

小規模店舗のWeb活用に共通する悩みとして、日中は製造や接客があり時間を確保しにくこと、わからないことが発生した際、相談相手がいないことが挙げられる。

ふじや菓子舗では、藤田氏が夜間に時間を確保し、コツコツと更新作業を行っているという。

また、留辺蘂商工会議所の千田剛貴氏が、キーワードの入れ方や操作方法などの疑問に時間を問わず丁寧に答えたり、制作会社の石原氏がサイトの状況を見ながら技術的なアドバイスを行うなど「小さな躓きで頓挫させない」地域のサポート体制が効いている。

「まだまだ改善する部分はありますが、『やりたいな』で終わらず、やってみると手応えがあるものですね」と藤田氏は笑顔で話す。

地元のIT企業(Web構築) ウィズ・プランニング

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社長 石原大樹氏
https://with-planning.jp/

商工会議所の「ネットショップ研究会」に参加し、最新の知識を惜しみなく提供してきたのが、Webデザイン・構築のウィズ・プランニング・石原大樹氏である。この縁で、ふじや菓子舗のWebサイト構築も手掛けた。

大手企業のWebサイトやバナー制作、自社でのネット販売等、実績・ノウハウを蓄積している。  「サイトの更新は企業が自ら行う時代になりました。商品を理解した人が魂を込めて薦めるのが一番ですから」との言葉通り、ふじや菓子舗の藤田氏が自ら情報を更新できるWebシステムを構築した。

ウィズ・プランニングでは、デザイン性が高いサイトを手軽に構築できるよう、「WordPress」によるテンプレートの販売も手掛けている。

「留辺蘂タウンマップ」の開設支援ではそのノウハウを発揮し、企業側が入力した情報を少ない作業でスケジュール表やFacebookページなどに反映できるシステムを構築した。

「この仕組みを留辺蘂以外の地域・支援機関での情報発信に広く利用してもらえればうれしい」(石原氏)とのことだ。

支援機関 留辺蘂商工会議所

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振興課課長 千田剛貴氏

留辺蘂町の情報発信を強力にサポートしているのが留辺蘂商工会議所である。

同会議所の千田氏は地域の企業に声をかけ、ネットショップ研究会で学習の機会を提供。一連の知識を共有した後は、各社の状況に合わせ、昼夜を問わず質問に回答している。

「セミナーを聞いているときはわかるものの、いざ自社でパソコンに向かったときに迷う、というご要望に個別に対応しています」と千田氏。留辺蘂町では、Webに限らずパソコン操作に迷ったときに商工会議所に問い合わせが来るなど、「地域企業のIT相談所」としての認知が高まりつつある。

このほど、同商工会議所では、地域情報を総合的に発信するポータルサイトとして、「留辺蘂タウンマップ」を開設した。会員企業の日々変化する情報を発信し、町の活性化に役立てようという試みである。

留辺蘂タウンマップ

町内のイベントや情報を総合的に発信できるポータルサイト。留辺蘂商工会議所が運営する。

会員企業は簡易ホームページを持ち、情報発信やクーポン発行、自社ホームページへの誘導を行える。更新情報をニュースやスケジュール表に自動反映するなど便利な機能もある。

構築にあたっては、ウィズ・プランニングの全面協力を得た。


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