いまだかつてない充実度!? 最新IT活用支援―中小企業庁に聞く
2016年秋号 2016.11.26
中小企業庁 技術・経営革新課(イノベーション課) 課長 高倉秀和氏
中小企業庁のIT活用支援がこの秋からぐんと充実する。
もちろん以前から様々な支援策があったり、全国各県に「よろず支援拠点」を設けてワンストップの相談を実現したり、
支援内容が吟味されているが、これだけ「IT活用」に重点が置かれるのは珍しい。
言い換えれば、もはやIT活用は経営と切り離せないほど重要になっており、ここで各社がしっかりと経営方針とIT活用の関係を認識し実際に使いこなさなければ、競争にのまれてしまう危機感の表れともいえる。
具体策の展開は適宜本誌でもお知らせしていくが、まずは、施策を打ち出した、
中小企業庁経営支援部 技術・経営革新課(イノベーション課)課長・高倉秀和氏にインタビューから、その意図を紹介する。
(文中敬称略)
幅広い中小企業を対象に IT導入支援をやりきる!
―今年度の補正予算から、IT導入支援策が実施されるそうですね。その背景は?
高倉 少子高齢化・人口減の社会を迎え、企業の持続的な成長、それを支える生産性の向上が急務ですが、中小企業が生み出す従業員一人当たりの付加価値は約550万円と、大企業の半分以下です。
生産性を上げるツールとして有効な手段の一つがITなのです。
―なぜ、今ITにフォーカスされたのですか。
高倉 中小企業庁は10数年にわたりIT活用支援に取り組んできましたが、近年はタブレット・スマートフォンで指一本でもアプリケーションを使えるほど操作性が向上しました。
また月額利用料金制のクラウドサービスの普及で、初期コストが大幅にダウンするなど、大きな変化がありました。
―これまでのITの進化を受け、まさに「このタイミング」なのですね。
高倉 その通りです。 今なら、
①いわゆるバックオフィス的な面では以前より使いやすくなり、さらに、
②ITそのものを使ってサービスを生み出し付加価値を高めることができる。
この二つの面でITを力強く使うことで、生産性を上昇させてほしい、と思います。
―ITに関する施策での目玉は何になりますか。
高倉 全体像を図にご提示しました。すでに多数ご利用いただいている「ものづくり・商業・サービス開発支援」のための補助金は継続します。
多くの企業を対象とした新施策としては、IT活用に一歩を踏み出していただくための「ITツール導入支援」、さらに「専門家の派遣」「取組事例の紹介や相談会の開催」が挙げられます。
「ITツール導入支援」は、認定を受けたIT企業に各社を訪問してもらい、サービス紹介と指導をセットで担っていただきます。
社内に人材がいなくても円滑に導入できるでしょう。
さらに踏み込んで商品選択や活用の相談をしたい企業には、専門家を3回まで無料で派遣したり、IT企業のサービスを展示する相談会(全国で開催)を用意しています。
―無料の専門家派遣まで含まれているとは、ずいぶん充実していますね。
高倉 ITの必要性はわかるものの一歩を踏み出せなかった企業の皆様にも、ツール紹介と専門家をセットでサポートしますので、この機会を逃すことなく活用いただければと思います。
そのほか、「業界をまたいだEDIシステムのモデルプロジェクト」「ロボット導入に向けた実証実験やシステムインテグレーターの育成事業」なども進め、生産性向上と新しいサービスの開発を支援してまいります。
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11月21日には、上記「業界をまたいだEDIシステムのモデルプロジェクト」の実施事務局が決まった。そのほかの施策も準備実施されていくので、事業展開がわかりしだい、本サイトでも紹介していく予定である。