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増額! ものづくり補助金をはじめとする2018年の補助金例と政策意図

2018年 春号 2018.08.03


2018年8月 追記 ものづくり補助金の二次公募がスタートしました。締切は2018年9月10日です。
●事務局 全国中小企業団体中央会のサイト

 

 

設備投資、Iot/AI活用で革新 「ものづくり補助金」

2018年はIT活用に使える中小企業向けの補助金が多数ある。

本誌でピックアップしただけでも(2018年2月1日現在での記載)、次のように多数ある。

 

<中小企業IT活用に関する補助金例>

*2018年2月時点のもの

 

昨年より増額されており、IT活用に踏み切る際の資金面での心配を払しょくするチャンスである。

ここでは、中小企業庁技術・経営革新課が管轄する「ものづくり補助金」「サポイン」「新連携支援事業」を紹介する。

●ものづくり補助金

ものづくり補助金」とは、「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」。革新的なサービス開発や設備投資など、比較的高額な、企業の戦略に沿った投資をサポートする。

中小企業庁技術・経営革新課の師田晃彦課長は次のように説明する。
「“生産性革命”の推進にあたり、直面する課題は人手不足です。限られた人数で労働生産性を上げるには、最新設備への投資とIT活用が有効です。ITの中でもIoTやAIを活用した革新が期待されており、この支援を含めて総額1000億円の予算を計上しました」

1企業当たり上限1000万円・補助率2分の1がものづくり補助金「一般型」の基本ラインである。
さらにユニークな点が3つある。

①専門家の支援を受ける場合は、補助額が30万円上乗せ
②複数の中小企業が連携し事業者間でデータを活用する「企業間データ活用型」は補助率が3分の2、さらに200万円×連携企業数を、連携体内で自由に配分可能
③「一般型」においても「先端設備等導入計画」認定、または「経営革新計画」の承認を受けた企業等は補助率が3分の2にアップ

「先端設備等導入計画」は、平成30年度国会提出予定の「生産性向上の実現のための臨時措置法」に基づくもの。固定資産税をゼロにする特例を措置した自治体において同認定を受けると、3年間の固定資産税がゼロになる。

「固定資産税を懸念して設備投資をせず古い機械を使い続けている企業が多くあります。この特別措置も活用して設備投資に踏み込んでほしい」と師田氏は力を込める。

 

 

宮田豪氏

中小企業庁 経営支援部  技術・経営革新課(イノベーション課)
課長 師田晃彦氏(中央) 爲房大治氏(左) 前田賢治氏(右)

このほど公募が開始された。

事務局は、全国中小企業団体中央会が務める、各県の中央会が窓口となる。
http://www.chuokai.or.jp/hotinfo/29mh_koubo_201802.html

締切:平成30年4月27日(金)〔当日消印有効〕

 

●知恵を結集して新サービスを

高度な研究開発や画期的なサービス開発は、平成30年度予算(国会通過後、4月以降)で実施予定の「サポイン」と「新連携支援事業」にて支援する。

前者は、産学官の連携により、ものづくり基盤技術の高度化を目指すもので、適用期間も3年に及ぶ。

「1社ではできない高度な取り組みに有効です。これまでも金型の内部に埋めこんだセンサーで製造時の状態を記録し、品質のばらつきをなくす研究開発など、ユニークなものが出てきています」と、同課の前田賢治氏は説明する。

後者は、異業種連携で商業サービス分野におけるサービスモデルの開発を2年間支援する。同課の爲房大治氏は、「昨年は、コインランドリーの運営者、機械製造者、IT事業者らが組んでIoTを活用した革新的なサービスを生みだしています。異業種連携への補助は珍しいので、ぜひご活用ください」と呼びかける。

 中小企業庁のIT活用支援は本腰だ。
IoT/AIを活用した革新的な取り組みをカバーしているので、新しいアイディアで圧倒的な生産性向上や新しいビジネスプランを考えている企業には使いやすい補助金と言えるだろう。

「働き手が少ないなかで海外に伍してビジネスを進めるために、この3年間はチャンスです。機を逃さず生産性を高める投資を進めてください」
師田氏は、こう締めくくった。

(記事は2018年2月現在のものです)