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見えてきた!中小企業のAIの使い方―熟練者の技術伝承にこそ役立つ

株式会社クロスコンパス 代表取締役 鈴木克信氏

2019年夏号 2019.06.26


「人の感覚分野」にこそAIの利用価値がある
  ―クロスコンパス 鈴木克信社長 インタビュー

AI(人工知能)もいよいよ身近になってきた。「ノウハウが蓄積された製造業には大きな可能性がある」というのが製造業向けAI を提供しているクロスコンパスだ。
では、どう使うのか。クロスコンパス・鈴木克信社長にインタビューした。(文中敬称略)

 

─―製造業に特化したAI企業としてすでに豊富な実績をお持ちです。なぜ、製造業なのですか。

鈴木:日本のモノづくりは、機械の性能だけに頼らず、熟練者が培ってきた技術・技能が合わさって高い品質を維持しています。一方、労働人口は世界的に減っており、ノウハウの継承が間に合わなければ危うい状況に陥ります。そこを人工知能でカバーできないかと。

 

―─AIというと、需要予測やアルファ碁のようなイメージを持ってしまいます。少し違うのでしょうか。

鈴木:AIには大きく、知能を扱うものと人の感覚器を扱うものがあり、我々が主力にしているのは後者の「見る」「聞く」「触る」そして時系列(プロセス)の変化を受けとめるなど、人の感覚を学習する領域です。
 
例えば、モーター製造の現場では聴音器を耳にあて、音で不良品を仕分けします。まさに経験の積み重ねによる暗黙知の領域ですが、この音の判断をAIが担うことができます。

 

クロスコンパスのWebサイトには対応事例が掲載されている

 

─―判断はどう覚えるのですか。

鈴木:ベテランの方が無意識に識別し、脳裏に焼き付けているもの─どこを特徴ととらえ判断するかまで踏み込んで学習させます。AIは最先端のテクノロジーですが、判断を覚えるためのデータやノウハウは長年培ってきたものが必要です。日本の製造業にはそれがあるのです。

 

製造現場を知る社員がAI技術者へ橋渡し

─―AIがぐんと身近に感じられてきました。実際、作りこむには製造業の知識も必要になりますね。

鈴木:当社は、先端のAI技術者を海外から集めていますが、同時に製造業の現場を知るシニアもおり、お客様の困りごとをきちんと把握して技術者とディスカッションします。「やっと話がわかってもらえた」と喜ばれるお客様もいらっしゃいます。

 

─―導入にあたり、AIは費用がかかりそうな印象ですが…。

鈴木:2014年から年間100件近くの実績を重ねてきた結果、当社内にノウハウが蓄積され製造業の共通要素が見えてきました。これを標準化しツールとして提供していますので、費用も抑えることができます。
 
このツールはデータの種類と解析内容を選んでデータを入れていただくだけで、当社で実証済みのAIアルゴリズムが自動選択され、AIが生成されるものです。希望される方には無償で試して頂くこともできます。

 

─―いよいよAIは手の届くところにきましたね。今後の展開について教えてください。

鈴木:最近はロボットの知能化のご相談も増えています。人工知能の判断も可・不可だけでなく「どうしてそう判断したか」まで踏み込み精度を高めています。
 
AIはすでにデジタル化されているものより、「感じる」というアナログの世界に大きな成長領域があります。だから「人工」知能になるわけです。
 
多様なノウハウをお持ちの技術者の皆さま・企業とともに、日本のモノづくりを世界に発信していきたいと考えています。

 

●株式会社クロスコンパス https://www.cross-compass.com/

 

 


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