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40の業務にRPAを導入! 挑戦してわかったこと・見えたこと

2020年春号 2020.03.31


昭和電機(大阪府大東市)の「RPA活用記」

 

本誌創刊時から、IT経営を積極的に推進する企業として連載や事例紹介をしてきた昭和電機。今回は、3年前から進めてきたRPA(パソコン上の操作を自動化するロボット)の導入について、現場のリアルな実感と成果をレポートする。(編集部)

 

「現在40の業務にRPAを適用し、月間350時間の作業時間を削減しました。空いた時間で仕事の高度化を行い競争力を確保したいと考えています」

昭和電機・経営管理部のICTシステムグループチーフ・春山国彦氏は、RPAの浸透と成果をこのように説明する。

昭和電機 経営管理室 ICTシステムグループの皆さん
写真左から、春山国彦氏、柴田梓氏、山田恵梨華氏、栗山隆史氏

 

2017年、経営管理部長の鶴の一声で検討を始め、お試し利用や、RPAが適用できそうな業務の洗い出し、RPAツールの比較検討を行ってきた。

最終的には、「WinActor」「AUTOジョブ名人」「AUTOメール名人」を導入し、組み合わせ利用とした。使い方を習い、モデルを参考にしながら、順次、業務ごとに作成を進めている。現在は、2019年に入社したばかりの柴田梓氏、山田恵梨華氏も「ロボット作り」=動作シナリオの作成に携わっている。

会社概要 昭和電機株式会社
住所 大阪府大東市新田北町1-25
設立 1950年
代表者 代表取締役社長CEO 柏木健作氏
従業員数 248名
事業内容 電動送風機をはじめとする「流れ」や「回転」技術を
生かした製品の製造
URL www.showadenki.co.jp/

 

 

 

 

 

使える業務を洗い出し「ロボット」を作成

 

最初に手掛けたのは、管理職の会議用に週報を集めてまとめる作業だった。

「参加者からレポートを送っていただき、一つのPDFファイルに編集しますが、ファイル形式をそろえたり、締め切りを過ぎた場合の督促など、細かい作業が発生していました」と同チームの栗山隆史氏は振り返る。

RPA活用後は、「締切が近づくと未提出者にメールを配信。週報が届くと、1つのファイルに編集し、関係者に送付」─これがすべて自動化された。

洗い出ししたRPAが適用可能な業務例には、「タイムカードの打刻漏れ通知」「基幹システムから販売データを取りだして集計し、エクセルのファイルにして関係者にメールで送付する」など、幅広い。

 

「皆に理解してもらうために、RPAが動いているパソコンを見やすい場所に置いておくなど工夫もしました。最近は、『この業務に使えないか』と具体的なリクエストが来ます」と春山氏。

基幹システムデータの分析などは、システム側を改変する方法もある。この点について栗山氏は、「欲しいデータ項目は変化しますし、基幹システムの改変に時間とお金がかかることを考えると、RPAで柔軟に対応する利点は大きい」と言う。社内で作るロボットだからこそ、変化に合わせやすいのだ。

人に優しいインターフェースが逆にRPAでは扱いにくいなど、使って初めてわかることも
多々あったという。

今後は、ネットからの受注→手配を自動化するなど、新しい取り組みに挑戦したいとのことだ。

 

RPA導入のリアル【 昭和電機へのQ&A 】

<Q1> RPAを選定した際のポイントは?

<A1>
ブラウザーベースの基幹システムやExcel、Accessが操作できること、効果との見合いで高額すぎないことなどを条件としました。一度決めかかったものの契約書に書かれている条件が合わず見送った製品もあります。

 

<Q2>  RPAは導入前に業務改革が必要といわれます。その点は?

<A2>
会社ごとに異なる点はあると思いますが、当社では「現状のまま」で導入しました。仕事の進め方をヒヤリングするだけなので、現場に負担はかかりません。改革が終わるまで待つよりも、早くRPAを導入して効率化できれば、より良い方法に変える時間も生まれメリットがあります。

 

<Q3> 「RPAでロボットを作る」とは実際にはどんな感じなのですか。

RPAが動いているパソコン

<A3>
今利用しているRPAの操作では、例えば、「二つのファイルにある数値を照合する」など動作にはある程度型があるので、最終到達点を見ながら、同じ動作を参考に組み合わせていく感覚です。ITベンダーに作ってもらった見本がとても役立っています。
RPAは何か一つエラーが起きるとそこで動作が止まります(ファイルが閉じる前にタイムアウトして、次の動作に行けないなど)。きちんと動いているか管理し、対応する仕事は欠かせません。

→昭和電機の過去の事例はこちら

 

 

 


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